大学の図書館などに英語学習者向けの多読ブースってありますよね。すぐに読み切れる幼児向けの小説が揃っているところです。

僕も学生の頃に、30冊くらい読みました。「まずは100冊読んでみよう」と広告が貼ってあり、英語力が上がるならと思って始めたのでした。

いまならわかりますが、面白くない本を読むくらい時間の無駄づかいはないとぼくは思います。それに英語力が向上するわけでもないのです。

ぼくが一番英語力が伸びたと感じたのは、好きな小説を何度も何度も読み返したときです読み返すたびに、自分が英語の小説を理解していると感じました。

「それじゃあ、どの洋書を読めばいいのだろう。」

このような方に向けて、面白い洋書をおすすめします。中学で学んだ英文法を理解していれば、読めますし自信を持って面白いと言いきれる作品たちです。

洋書を読みたい人におすすめの小説

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この小説たちがぜったいおもしろいです!

  1. “The Catcher in the Rye” 
  2. “The Sun Also Rises” 
  3. “The Killers”
  4. “Breakfast at Tiffany’s” 
  5. “The Remains of the Days”  
  6. “What We Talk About When We Talk About Love”  
  7. “Pacific Radio Fire”
  8. “Women When They Put Their Clothes on in the Morning “
  9. “Holiday in Germany”
  10. “Homage to the San Francisco YMCA”
  11. “The Great Gatsby”  
  12. “Babylon Revisited”
  13. “The Lees of Happiness”

 

さっそく見てきましょう!

The Catcher in the Rye by J.D Salinger

 

If you really want to hear about it, the first thing you’ll probably want to know is where I was born, and what my lousy childhood was like, and how my parents were occupied and all before they had me,and all that David Copperfield kind of crap, but I don’t feel like going into it, if you want to know the truth.

The Catcher in the Rye

この小説は僕が初めて読んだ洋書です。

冒頭の一文を読んで頂ければ、そのリズミカルで特徴的な語り口を感じて頂けると思います。

語りかけるような文体はとても読みやすくて、すいすいページが進みます。

あらすじ

感情の起伏が激しい少年のストーリーですけど僕はとても楽しめました。

舞台はニューヨーク。クリスマス前に学校から見放された17歳の少年が放浪する姿が描かれています。

ジョン・レノンを殺害した犯罪者が犯行直後に読んでいたことでも、知名度が高くなった小説です。

サリンジャーのこの小説では同じフレーズが何度も反復されていて、耳に残る感じを受けます。

例えば、冒頭でも使われている”if you want to know the truth”もそのうちの一つです。

The Sun Also Rises by Ernest Hemingway

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She touched me with one hand and I put her hand away.

“Never mind.” 

“What’s the matter? You sick?” 

“Everybody’s sick. I’m sick too. ”

The Sun Also Rises

ヘミングウェイのこの小説はほんとうに素晴らしくて、どうしてこんなにも好きなのかよく分からないけど好きです。3回は読み返しました。

そのたびにストーリーに入り込んでいく自分に気づかされます。文体は簡素で分かりやすい。難しい単語も出てきません。

ただ会話の場面は、それまでの流れを理解していないと、誰が喋っているのか分からなくなるかもしれません。ぼくは最初よく分からなかった。

辞書を一度も開かなくても、読み通すことはできると思います。面白いですよ。

あらすじ

第一次世界大戦後の若者たちの享楽の日々を淡々と描いている小説です

一見、健康な青年に見える主人公のジェイクは、戦争で負傷して以来、勃起不全になっています。仲間とスペイン旅行へ出掛けるのですが何か満たされない。

この何かが失ってしまっていて、どうすることもできない。そしてどうしていいか分からない感覚が見事に表現されている。

大きな展開があるわけではありません。ただ、何かが失われてしまっているといった感覚が残る不思議な物語です。

The Killers by Ernest Hemingway

“What do you do here nights?” Al asked.

“They eat the dinner,” his friends said. “They all come here and eat the big dinner.”

“That’s right,” George said.

The Killers

「殺し屋たち」というタイトルはどこかで聞いたことがあるかもしれませんね。ヘミングウェイの有名な作品です。

あらすじ

ジョージのレストランに訪れた2人組の殺し屋はある男を探していたのだが…

殺し屋たちの掛け合いが面白いです!店主のジョージは、2人組の男たちが殺し屋とは知らないので、からかってくる彼らに高圧的な態度をとります。殺し屋たちは怒るわけではなくジョージの態度を楽しんでいる。

面白い作品です。

Breakfast at Tiffany’s  by Truman Capote

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I am always drawn back to places where I have lived, the houses and their neighborhoods.

For instance, there is a brownstone in the East Seventies where, during the early years of the war, I had my first New York apartment.

 Breakfast at Tiffany’s

オードリー・ヘップバーン主演の映画のほうが有名かもしれませんね。ぜひとも原作であるこの小説を手にとって頂きたい。読めばわかると思いますが、カポーティの独特の文体に引き込まれるはずです。

ただ辞書がないと理解できない部分もあると思います。そこはおもいきって読み流してもいいでしょう。

あらすじ

自由奔放に生きる若い女性のホーリー・ゴライトリーをめぐる物語。舞台はニューヨークです。

ぼくはこの小説が本当に好きで、原文を3回ほど読みましたし、翻訳本も読み、映画も観ました。

小説と映画ではストーリーがまったく異なるので、それぞれ別の作品だと思っていただければ楽しめると思います。

The Remains of the Days  by Kazuo Ishiguro

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“Why, Mr Stevens, why, why, why do you always have to pretend?”

The Remains of the Day

日系英国人のカズオ・イシグロの小説です。ブッカー賞を受賞した作品として有名ですよね。

この本に関しては土屋政雄さんが翻訳された本を先に読みました。その翻訳がとても素晴らしくて、まるで土屋政雄さんの小説であるかのような印象を受けました。

原文ももちろん面白いです。ただ少し堅い言い回しをするので(執事が主人公なこともあって)、翻訳された本を先に読んでおくと、読みやすいです。

あらすじ

物語はイギリスにある豪邸の執事の話です

仕事に一途な執事のスティーブンスはとても不器用な男で読んでいるとつい共感してしまう。そして応援したくなってきます。最後の再会の場面はとても感動的でした。

What We Talk About When We Talk About Love  By Raymond Caver

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There was a time when I thought I loved my first wife more than life itself.

But now I hate her guts. I do. How do you explain that?

What happened to that love? What happened to it, is what I’d like to know. I wish someone could tell me.

 What We Talk About When We Talk About Love

タイトルのリズム感がとても印象的ですよね。英語独特の言い回しの素晴らしさをこのタイトルから感じます。

あらすじ

二組の30代半ばのカップルが愛について語り始めるのですけど、そのさきに明確な答えはなくて展開としても何か起こるわけでもない。

だけど読み終えた後に、何かひっかかるものを感じさせる不思議な物語です。 その感覚でいえばこの小説も”The sun also rises”に近いかもしれません。

Pacific Radio Fire  by Richard Brautigan

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Finally he set fire to the radio. He piled some paper around it. He struck a match to the paper. We sat there watching it. I had never seen anybody set fire to a radio before.

Pacific Radio Fire

“Revenge of the Lawn”に収録されている短編です。リチャード・ブローディガンの作品は、ちょっと不思議なところが多くて面白い。

あらすじ

妻に逃げられた友人がラジオに火をつける話。

男は友人を励まそうとするのですが、友人の心にはなにも響かない。そして彼はとつぜんラジオに火をつけます。引用文にもあるように、ラジオに火をつける光景って見たことないですよね。そのあと不思議なことが起こり、物語がおわります。

たった2ページから成るとても短いストーリーですので、気軽に読めますよ。

Women When They Put Their Clothes on in the Morning  by Richard Brautigan

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It’s time for her to put her clothes on and it’s so beautiful when she does it.

Women When They Put Their Clothes on in the Morning 

物語というかエッセイにちかい作品で、まさにタイトル通りの話です。はじめてセックスした女性が服を着る姿って、なんていいんだろうと語っています。 

男性はすごく共感できるんじゃないかな。ぼくはこの作品が好きです。

Holiday in Germany  by Richard Brautigan

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Whenever he would spot a good-looking girl driving along, he would point her out to his friend as part of their itinerary in America.

They were healthy, normal sex fiends.

Holiday in Germany

この作品を読むたびに、学生のころに引越しのアルバイトをしていたことを思い出す。トラックで移動中しているとき、綺麗な女性が道を歩いていると、運転手もふくめて全員が彼女を眺めていた。男ってそんなもんですよね…どうしようもない。

あらすじ

アメリカを旅行している若いドイツ人が、高速バスの車窓から美女ドライバーをみつけて興奮する物語

とても短い物語なので、内容について書けないのですが、ちょっとありえそうなシチュエーションなのがいいです。最後のオチもまとまっています。

Homage to the San Francisco YMCA by Richard Brautigan

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“I look great as a kitchen sink,” Emily Dickinson’s poetry said.

“We look wonderful as a toilet,” the minor poets said.

Homage to the San Francisco YMCA

設定が面白い物語で、オチもすごくいい。むだのない短編小説だとおもいます。

あらすじ

男は詩が好きすぎて、家の家具を詩と取り替えてみたのだが…

引用文にもあるように、キッチンやトイレに詩を置いて、会話をするシーンはちょっと滑稽ですがおもしろい。子どものころにやりそうですよね。こんなこと。

最後のオチもきっちり決まってて、良い作品だと思います。

The Great Gatsby  by F. Scott Fitzgerald

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In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I’ve been turning over in my mind ever since.

“Whenever you feel like criticizing any one,” he told me,

“just remember that all the people in this world haven’t had the advantages that you’ve had.” 

by The Great Gatsby

この小説もとても素晴らしいです。

フィッツジェラルドのグレード・ギャツビーは村上春樹さんが翻訳をしているので、先に翻訳本を読んだ方がいいかもしれません。

いまとなっては少し古い単語をよく使われていて、ちょっと読むのに苦労すると思うからです。

初めて読んだ時は全然理解できなくて苦労しました。知らない単語があまりにも多かったですし、フィッツジェラルドの文体にもまだ慣れていませんでした。

あらすじ

一人の女性を愛し続けた大金持ちの青年の物語です。

最後の一文がとても素晴らしい。できればいまここで紹介したいのですが、ネタバレになってしまうのでやめておきます。

ぜひ手にとって読んでみて下さい。多くの有名な作家が愛読している作品ですし、間違えなく面白いと思いますよ。

Babylon Revisited  by F. Scott Fitzgerald

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“I want to get to know you,” he said gravely. “First let me introduce myself. My name is Charles J. Wales, of Prague.”

“Oh, daddy!” her voice cracked with laughter.

“And who are you, please?”

Babylon Revisited

引用はチャーリーが娘のホノリアとレストランでの会話。

まだ幼い娘のホノリアを、初対面の大人の女性としてふるまっているところが、とてもいい。

“Babylon Revisited”は村上春樹が大絶賛しているフィッツジェラルドの短編小説の一つです。一度読んだら、忘れることのできない。それくらい惹きつけるストーリー性があります。

あらすじ

アル中だったチャーリーがピーターズ夫妻に預けていたチャーリーの娘を取り戻しにいく物語。

「バビロン再訪」の主人公チャーリーはつねに過去の行いに後悔をしています。若いころに派手に遊んできた「ツケ」が、いまの彼を苦しめている。

だが、娘のまえではけっして弱い姿は見せない。ユーモアのある父親として振る舞う。たとえ最愛の人を失っていたとしても…

フィッツジェラルドの作品によくある、悲しい物語なかに咲くちいさなユーモアがとても印象的。

ぼくは5回以上は読み返しました。

The Lees of Happiness by F. Scott Fitzgerald

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Bang! The first biscuit was impaled to the wall, where it quivered for a moment like a live thing.

Bang! . . .

The Lees of Happiness 

引用はジェフリーが新妻のロザンヌがつくった失敗作のビスケットを壁に打ち付ける場面。

このシーンは、落ち込むロザンヌを励ますために、夫のジェフリーがビスケットを飾りとして壁に打ちつけます。

かなり狂っているけど、こういう突拍子もないことがよく記憶に残るし、懐かしくもなりますよね。ジェフリーはすぐに病魔に冒されてしまうのですから…

“The Lees of Happiness”はできることなら誰もが読んでほしいくらい個人的に大好きな作品です。

あらすじ

植物状態のジェフリーを看病する妻のロザンヌをめぐる物語

結婚してすぐにジェフリーは病気にかかり植物状態になります。ロザンヌは以前のジェフリーが戻ってくると信じて懸命に看護に励む。

男性だったら、だれしもロザンヌのような献身的な奥さんに憧れるのではないでしょうか。ロザンヌの健気なすがたと文章表現の美しさが際立つ作品です。

おまけ:The Crack-Up by F. Scott Fitzgerald

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Things not to worry about:

Don’t worry about popular opinion

Don’t worry about dolls

Don’t worry about the past

Don’t worry about the future

Don’t worry about growing up

Don’t worry about anybody getting ahead of you

The Crack-Up

ここまで読んでいただきありがとうございます。最後にぼくが好きなエッセイ集”The Crack-UP”に収録されている美しい詩のような手紙を紹介します。

この引用文はフィッツジェラルドの当時11歳の娘に宛てた手紙です。

この手紙がとても素晴らしくて、ぜひ何か悩みがあるときに読んでほしいニューヨークタイムズで無料で読めます

エッセイ集にはほかにもたくさんエッセイや手紙が収録されています。

洋書の小説を読めるようになって感じたこと

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ぼくはずっと勘違いしていました。洋書は英語がある程度できるようになってから読むものだと思っていました。

今なら分かりますが、それは過った考えでした。

中学で学んだ英文法を理解していれば、辞書を片手に洋書を読むことはできます。とくに小説の方が読みやすいと思います。

たとえば英字紙もいいのですけれどほとんどの方にとっては、分からない単語ばかりで読み進めることが難しい。それに読んでいてもあまり面白くない。

それに比べて、洋書の小説は読みやすく楽しいです。また読み始めて、難しいなあと感じたときは翻訳本をさきに読んでしまえばいいのです。そのあとで原文にもういちどチャレンジする。

最近ぼくはそのスタイルで洋書を読んでいます。今回紹介した洋書は原文から入ったのが主なのですけど。

原文と翻訳本で印象が違いを感じられることも楽しみの一つになると思います。この機会にぜひ洋書の小説にチャレンジしてみてください。

洋書についてはよくわかった、でもやっぱり英語は話したいよねと考えている人も多いはず…

英会話の勉強方法についても書いてみたので参考にしてください。

how-to-speak-english

独学でも!?英会話ができるようになる勉強方法

2018年5月17日

将来外資系で働きたい人やグローバルに働きたい人に役に立つと思いますよ!




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ABOUTこの記事をかいた人

ピースボートに乗船して17カ国で400人の外国人にモットーを聞いてまわりました。 旅の醍醐味は人との出会いだと信じています。 村上春樹とパールジャムといぬが好き。走ったり泳いだりしてます。